さらに長打力不足解消の目的から、アスレチックスをFAになった中島裕之にも触手を伸ばし、4年総額10億円で“マネーゲーム”を制したかに思われたが、4年総額15億円のオリックスに逆転されてしまう。

 そこで、年末までFA市場に残っていたオリックス・金子千尋に4年総額20億円超を提示するとともに、将来ポスティングでのメジャー移籍を認めるなど、最大の誠意を見せたが、金子は「今のチームメイトと今年(ゲーム差なしの勝率2厘差で)できなかった優勝がしたかった」という理由でオリックス残留を決めた。

 交渉に当たった中村勝広GMは「初めから今回の案件は、雲をつかむような話だった。あれだけの投手だし、当然攻めなければいけないと思いました。ある程度予想されたというか……」と振り返ったが、「雲をつかむような話」という表現からも、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる的な印象も否めなかった。

 今オフは、前出の森以外にも、楽天・浅村栄斗、辛島航、ロッテ・中村奨吾、西武・外崎修汰、広島・西川龍馬らFA取得組の動向が注目されている。

 阪神が何人に声をかけ、どんな戦果を挙げるかも、ファンにとっては気になるところだ。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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