プロ野球の世界は厳しい。わずか2年前。笑顔で巨人の入団会見に臨んでいた井納翔一が今オフに戦力外通告を受けた。
井納は今月7日に自身のツイッターを更新。「本日、球団事務所に行き自由契約と言う形で話し合いをしてきました。巨人にきてからの2年間で満足のいく成績を出すことが出来ず球団やファンのみなさんには申し訳ない気持ちでいっぱいです。これからのことは、もう少し後で考えてやっていきます」と綴った。翌8日にもツイート。「昨日のツイートに対してたくさんの温かいコメントをしてくださりありがとうございました 今は、他球団からの連絡が来ることを祈りながら練習をしていきます」と他球団で現役続行を目指す考えを明らかにした。
井納はプロ2年目の2014年に11勝をマーク。その後も先発ローテーションとして稼働したが、18年は救援に回り、19年以降は登板機会が減っていく。身長188センチの長身から角度のある快速球に、スプリット、スライダー、カーブと変化球の質も高い。スタミナも十分で馬力がある。本格派右腕としての素質は誰もが認めていたが、2ケタ勝利は1度のみと白星が伸びなかった。DeNAを取材していた当時のテレビ関係者は振り返る。
「井納は投げてみなければ分からないタイプ。打者を圧倒する投球で完投勝利を飾っても、次の登板では序盤から大量失点であっさり崩れることもある。相手打者の狙いを察知する洞察力や、試合の流れを読む力に長けているわけではないので、調子の良しあしが投球にそのまま出る。ならば救援のショートイニングで力を発揮できるかと言うと、そうではない。アレックス・ラミレス監督が救援に配置転換したが、エンジンのかかりが遅いので計算できなかった」
DeNA最終年の20年に17試合登板で6勝7敗、防御率3.94。他球団からすれば、見栄えの良い本格派右腕に映る。同年オフにFA移籍すると、巨人とヤクルトが獲得に名乗りを挙げた。巨人は菅野智之がメジャー挑戦する可能性があったため、先発投手が1枚でも多く欲しかった。一方、20年に最下位に低迷したヤクルトは投手の台所事情が厳しいく、先発不足が深刻な状況で、井納の獲得に乗り出した。