井納は年俸6100万円から推定年俸1億円の2年契約で巨人入団を決断する。年俸の大幅増で「FA特需」の恩恵にあずかる形となったが、菅野は巨人に残留する。井納は先発ローテーション争いで結果を残せず、救援に配置転換後も精彩を欠いた。移籍1年目の昨年は5試合登板で0勝1敗、防御率14.40。今季も6月22日のDeNA戦で打者1人に4球連続ボールで四球を出して降板し、ファーム降格と完全に首脳陣の信頼を失っていた。8月6日のヤクルト戦で移籍後初勝利を挙げたが7試合登板にとどまり、来季の戦力構想から外れた。
スポーツ紙デスクは、FA移籍の難しさを指摘する。
「期待が大きい分、結果を出せないと叩かれる。注目度が高い巨人ならなおさらです。井納は好不調の波が激しい投手なので、早急に結果を求める球団では力を発揮しづらい。ヤクルトに入団していれば、もう少し我慢して使ってもらえていたでしょう。活躍したかはともかく違った結果になっていたと思います」
巨人で力を発揮できなかったが、「宇宙人」と称された独特の感性でファンから根強い人気を誇り、若手選手たちにも慕われていた。各球団が若返りを図る中、36歳右腕に向けられる評価は厳しい。来季もNPBのマウンドに立つ願いがかなうだろうか。(梅宮昌宗)