伯父はそう厳しく批判し、旧統一教会側に通知書を送付し、返金を求めている。
最近になって、福本修也弁護士から回答があった。福本弁護士は旧統一教会の事件後の記者会見にも同席していた顧問弁護士だ。
「けっこう長い文面でした。旧統一教会としては、母親から『自分が6000万円を相続した』と聞いたので、献金してもらったという内容。記者会見で述べている旧統一教会の言い分、コンプライアンス宣言をして高額な寄付はもう受領していないとか、関係ない話が多くありました。そんなことは関係なく、弁護士として保険会社に照会をかければ契約内容はすぐわかります。母親のいう通りでなく、こちらの主張の内容だったら怖いのでできないのでしょう」
山上容疑者の父親の生命保険は大手保険会社で契約されていた。実は、伯父も同じ保険会社で、山上容疑者の父親より少し早い時期に生命保険を契約していたのだという。山上容疑者の母親の実家が経営していた建設会社に出入りしていた保険会社のセールスの女性から、紹介を受けたためだった。
「私が契約した生命保険は、子どもにも半分が支払われる内容でした。母親の受け取った生命保険も同じ契約であるはず。だったら半分は3人の子どもに帰属されるので、3000万円分の献金は返せとなる。旧統一教会側から私に来た回答には、除斥期間の20年が過ぎているという文言もありました。記者会見で返金対応すると言っているのに、本音は返したくないということか。それに大阪高裁では、正義に反する不法行為があった場合には除斥期間を主張できないという判断もしている。旧統一教会の献金の要請が正義に反するのは誰しもが認めるところだ」
伯父の口調は激しい。
伯父は大阪拘置所で鑑定留置されている山上容疑者に、弁護士を通じて定期的に差し入れをしているというが、その一方で、伯父の自宅にも「差し入れ」が山のように届いている。
大阪拘置所の山上容疑者あてに、全国から差し入れが届けられているのだが、あまりに分量が多いため、伯父に転送されているのだという。また山上容疑者の減刑を求める署名活動も展開されている。山上容疑者の生い立ちを知り、同情の声が広がっているようなのだが、伯父は戸惑い気味だ。