フードイラストレーターでバイリンガルレポーターとしても活躍するケイリーン・フォールズさんが、『日本のいいもの おいしいもの』の出版を記念して、10月8日に「透明水彩で描く和菓子」と題した講座を開いた。食べものの魅力を引き立てて、おいしそうなイラストを描くにはどんなコツがあるのか。教室で取材した。
【写真】ケイリーンさんが描いた、おいしそうな「いちご豆大福」
『日本のいいもの おいしいもの』は、アメリカ・ミネソタ州出身のケイリーンさんが、2014年の来日後、食べ歩き、訪ね歩いた日本のグルメやカルチャーを、自身のイラストと日本語・英語両方のショートエッセイで紹介するガイド。海外にはない日本の食文化やお店の魅力を愛情を込めて描き上げ、話題を集めている。
朝日カルチャーセンター新宿教室で開かれた講座は満員御礼。ケイリーンさんは講座開始の30分以上前から教室でスタンバイし、「水彩の経験ありますか?」「初心者でも大丈夫」「楽しいですよ!」などと声をかけながら受講者たちを迎えた。
この日、モチーフとなったのは大正元年創業の老舗和菓子店「大角玉屋」の「元祖いちご豆大福」。教室で配られ、受講者たちは「これを描くのか」と意気込んでいたが(たぶん)、冒頭、「これは終わってから食べるための大福です」とケイリーンさん。初心者は、写真や画像を見ながら、これが大福だということは忘れて、「形」を意識したほうが描きやすいという。
講座ではまず、配布された大福の写真に、形を把握するために重要なポイントをマーク。大福の左右幅、高さなどを把握するためのものだ。そのマークを、鉛筆を定規がわりに長さを測りながら画用紙に落としたら、次は鉛筆で薄く、輪郭を描いていく。絵を描くための鉛筆というと、2Bや4Bといった柔らかくて濃いものが一般的だが、ケイリーンさんが使うのは硬くて薄い2Hだという。
手を動かしながら、ケイリーンさんのアドバイスが続く。
「実物じゃなくて写真を見て描くほうが描きやすいんですけど、やっぱり実物は用意して、食べたほうがいいです。ここを見てほしいというところが出てくるし、味も伝わる。ただ、大福の場合、2時間かけて絵を描いていると、固くなります(笑)」