紹介先の病院の評価については、先方から紹介元にくる「返書」や、治療を終えてクリニックに戻ってきた患者から確認できることが多い。
クリニックの医師が病院に紹介をするときに出す文書は「診療情報提供書」と呼ばれ、これを受け取った医師が自分の病院で検査や治療を開始するにあたり、定期的に情報提供をおこなう際の文書が「返書」だ。
「返書で、私たちから見て納得のできる治療を展開していることがわかれば、安心です。そうでない場合は、次回からは紹介のハードルが上がりますね」
医師によっては、技術は申し分ないが、話しにくい雰囲気など万人受けするタイプではないこともある。
「そのような医師に紹介する場合は、あらかじめ『少し、話しにくいかもしれないけれど、腕はいいのでまずは受診してみて』と話します。その医師のキャラクターを伝えるのもかかりつけ医の役割。これを知らずに患者さんが受診をしたら、『あの医師はダメ』となってしまうかもしれません。せっかく腕のいい医師なのにこのようなことになったら、患者さんが損をしてしまいます」
さて、病院でがんなどの診断がつき治療法が説明される中、患者はこのまま手術を受けていいのか、術後はどうなるのか、など不安になることがある。そのような場合も、かかりつけ医は相談にのってくれる。
「よくあるのは、『聞きたいことがあるけれど、主治医が忙しそうで聞きにくい。先生には話しやすいので相談に来ました』というパターンです。もちろん、わかる内容であれば喜んでお答えします。一方、専門性の高い質問については、こちらも情報を持っていないことが多いので、患者さんに『主治医への質問の仕方』をアドバイスしています」
例えば、患者が主治医からある治療法を提案されたが、インターネットで調べたところ「別の治療法」があることを知った。このまま治療を受けていいのか悩んでいる、というパターンでは、「これもがんによるのですが、最近の治療法の進歩により、がん組織のタイプの違いや進行度によって、治療法を変えることも多いのです。患者さんがこうしたケースに相当する場合は、『自分がどのようなタイプのがんで、どのくらい広がっているのか、なぜ提案する治療になったのか、思い切って聞いてみましょう』とお話しします」