さらにどう聞けば主治医が答えやすいかも伝えている。

「基本的には『前もってメモを書いておいて、そのメモを読みながら伝えるのがいいですよ』とお伝えしています。メモを書くのが大変そうな患者さんには、私が代わりに書くこともあります」

 こうした治療の周囲の「困りごと」を解決するのはかかりつけ医の仕事、と草場医師は考えている。

「私たちがこうした相談に対応することは、多忙な病院の医師の負担軽減にもつながると考えています。大病院は大病院にしかできないことに専念したほうがいいと、強く思っています」

 セカンドオピニオンについてはどうだろう。通常のセカンドオピニオンは大病院を複数、まわるものだ。しかし草場医師は、

「実はセカンドオピニオン先にこそ、かかりつけ医はふさわしいのです。なぜなら、かかりつけ医は患者さんの生活や人生観をよく知っている。それをふまえた上で、アドバイスができるからです」

 例えば、「(夫や妻の)介護をしていて長期の入院が難しい」「独居で子どもたちは遠くで暮らしている」など、患者の背景によっても、適切な治療が変わってくることもある。

 逆に「〇〇さんには、やはり、今の病院で提案されている治療がよさそうですね」となることも多く、これもまた患者の不安を解消し、後押しをすることにつながるだろう。

「他院でセカンドオピニオンを聞きたいが、主治医に言い出しにくい」という患者には、前述のように、主治医への相談の仕方をアドバイスしている。

「直接、セカンドオピニオン先を紹介してほしい、と言われる場合もありますが、そうすると一から検査を受け直さなければならないので、できるだけ主治医に相談するようお話ししています。その上で『どうしても言い出せない』と言う場合は、数は少ないですが私のほうからセカンドオピニオン先を紹介することもあります」

 話を聞いていると、かかりつけ医を持つことはいざというときの心のよりどころであり、頼りになる存在だということがよくわかる。いいかかりつけ医を持つことができれば、生涯にわたりあらゆる健康相談もできるわけで、この記事の前編で草場医師が言っている通り、「いいかかりつけ医は、一生モノ」は、その通りだと思う。

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