「丸福楼」が併設する「ライブラリーdNa」をプロデュースしたのは、任天堂の創業家。唯一無二の空間が広がる

 世界的建築家・安藤忠雄氏が設計・監修を担当した館内は、旧本社社屋を生かした既存棟と増築した新築棟が絶妙な調和を保ち、独特の空間が広がる。全室内装や調度品が異なり、泊まるたびに新しい発見ができるのも魅力。任天堂創業家がプロデュースした「ライブラリー dNa」も併設され、花札から着想を得たライゾマティクスによるインタラクティブアート、初代ファミリーコンピュータを表現した作品など、さまざまなコンテンツを通して任天堂の歴史と原点に触れることができる。

「moksa」のサウナをプロデュースしたのは、サウナの聖地ともいわれる「サウナしきじ」を実家に持つ笹野美紀恵氏

「再生」のキーワードで注目されるもう一つのホテルは、日本最古の入浴場があったとされる比叡山の麓・八瀬に22年3月にオープンした「moksa」。こちらは、宿泊客が「生まれ変わる」ための宿で、現代作家の作品が館内を彩る館内に、「炭蒸(たんじょう)」「檜蒸(ひじょう)」「美蒸(びじょう)」と名付けられた3種類のユニークなプライベートサウナを備える。忙しい毎日に疲れた体と心を再生したいという人におすすめだ。

 コロナ禍に進化したのはホテルだけではない。新しくておいしい、個性的なカフェも、続々誕生している。

「小川珈琲 堺町錦店」のモーニングは780~1300円。モーニング、ランチ含め、素材にもこだわっている

 その一つが、京都を代表する小川珈琲が創業70周年を迎える22年に開業した「小川珈琲 堺町錦店」。「100年先も続く店」をコンセプトに、8種類のエシカルコーヒーなど、濃くてマイルドなコーヒーを、日本の珈琲文化を象徴するネルドリップで提供している。錦市場からほど近い町家を改装した店内で、炭焼きトーストと糀バターに目玉焼き、ポテト入りソーセージを添えたモーニングなど、定番をブラッシュアップした喫茶メニューも話題となっている。

「ファミーユ ドゥ チエ ハリセ」は、そこから見える景色も、提供されるスイーツも、非日常感満載

 創業350年余もの長い歴史を誇る東山の京料理「はり清」の隣に移転オープンした「ファミーユ ドゥ チエ ハリセ」は、老舗料亭と地元で長く愛されたパティスリーの新展開。完全予約制のケーキセットは、ショーケースに並ぶ14種類前後の全てのケーキから好きなものをセレクトできる。焼菓子とドリンクも付いて、「はり清」の庭園を眺めながらいただけば、優雅な時間が流れていく。

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