カウンターと小さな赤テーブルだけのカジュアルな店構えながら、あっさりとした上品な広東料理を味わえる。修業店ではコースの締めメニューだったという「カラシ入そば」は、今や京都中華の名物の一つ。酢で溶いた粉辛子と醤油を合わせて熱々の玉子麺に絡め、具だくさんの中華餡をかけた食べ応えのある一杯だ。
「通し営業だから遅めの昼食にも重宝。かしわ玉子焼き、チャンポンもおすすめです」(井上さん)
◆ケイリーン・フォールズさん おすすめの3軒
(フードイラストレーター)
日本でデザイナー、イラストレーター、タレントとして活動中のケイリーン・フォールズさんは、アメリカ・ミネソタ州出身。バイリンガルリポーターとして、TBS「世界くらべてみたら」やNHKワールドJAPANの番組にも出演している。6月に刊行し、本物よりおいしく見えるフードイラストが話題の『日本のいいもの おいしいもの』でも、京都の「いいもの おいしいもの」を紹介している。
彼女のチョイスした「AWOMB西木屋町」は、色とりどりの手織り寿司で知られる創作手巻き寿司専門店。高瀬川沿いの細い通りに佇む京町家をリノベーションした店内は、1階にテーブル席とカウンター席、2階にはテーブル席があり、町家の造りを生かした内装。メニューは、具材のおばんざい、海苔、酢飯、椀物がセットになった「手織り寿し 養」のみだ。烏丸の本店とはまた違った味が楽しめ、「よもぎ麩の霰揚げ」「マンゴーの天ぷら」など独創的なおばんざいが平皿に並ぶ。濃茶塩やガーリックチップ、クルミ、豆乳マヨネーズなどの薬味や調味料で味変すれば、未知のおいしさに出合える。
ケイリーンさんも、
「新しいものを食べるのが大好きな私にはピッタリのコンセプト。想像しなかった味のコンビネーションに意外な発見があります」
と太鼓判を押す。動物性タンパク質は一切使っていので、椀物まで全部食べてもヘルシー感満点なのも魅力だ。