政府の観光支援策「全国旅行支援」が始まり、多くの観光地がにぎわいを取り戻している。17のユネスコ世界文化遺産が集中する京都もその一つ。観光名所のあれこれはガイドブックに任せて、今回は「京都通」を自認する3人に、いまこそ行くべき京都の最新グルメスポットを教わった。街歩きの途中に立ち寄りたいカフェや甘味処、創作手巻き寿司専門店、京都中華の名店からディープな「酒場」まで、めくるめく京都グルメをご堪能あれ。
◆唐澤武彦さん おすすめの3軒
(OMO by 星野リゾート 京都エリア3施設総支配人)
唐澤さんは、1999年に「星野リゾート」に入社。軽井沢のウェディングやエリア総支配人などを経て京都に移り、「旧ロテルド比叡」「星のや京都」支配人に。オーベルジュや日本旅館、現在は街を楽しむ都市ホテルと、さまざまな視点から京都の魅力を探求する日々を過ごし、現在は「OMO3京都東寺」「OMO5京都三条」「OMO5京都祇園」の総支配人を務める。
その唐澤さんがまず名前を挙げたのは、「茶香房 長竹」。石畳の通りが京情緒を感じさせる先斗町の8番路地に面したお茶の専門店だ。宇治茶の茶園主との親交を経てお茶のスペシャリストとなった店主は、作法などを難しく考えずに楽しめる“暮らしの茶”を提唱する。「お茶の葉を見て味わってほしい」と急須を使わず湯呑みや抹茶碗で直接淹れた煎茶は、まろやかな甘みと長い香りの余韻が心を打つ。
「芸妓さんや舞妓さんが通うお店でもあり、中にはうちわと千社札がびっしり飾られています。風情ある先斗町の景色を楽しむだけでなく、ぜひお店にも入ってみていただきたいです」(唐澤さん)
飲み物は、玉露や煎茶、抹茶ミルクに加えて、中国茶、紅茶なども用意。フードは最高級の宇治抹茶を惜しみなく使った大福やわらびもち、パフェなどの抹茶スイーツから、番茶で炊いた茶飯の御膳やおばんざいといった食事メニューまで、どれも丁寧に作られた品々がそろっている。話し上手な店主の気さくなおもてなしで、お茶の魅力に目覚めた客が多いというのも納得。会話が弾むカウンター席がおすすめだという。