放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、便利だと思っていて実は小さなストレスを感じている家電について。
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AERAでの連載もかなり面白い、稲垣えみ子さんと初めてお会いした。
僕と元NHKプロデューサー河瀬大作さんとでパーソナリティーをやっているbayfm「シン・ラジオ」にゲストで来ていただけたのだ。エッセイの文章に魅了されて以来、ずっとお会いしたかった。「ライフ イズ エンタメ」と思って生きている僕にとって稲垣さんの生き方はリスペクトすべき生き方だ。素敵すぎる。
2011年の東日本大震災の原発の事故をきっかけに、家で使う電気を削っていく生活に入った稲垣さん。掃除機、炊飯ジャー、電子レンジ、エアコン、そして最終的には冷蔵庫まで。家の中の家電を断捨離していき、今では明かりと仕事に使う道具以外、電気を使うものはほぼ家にない。
調理はガスコンロでやっているのだという。しかも最低限の加熱ですむ様々な調理法を生み出し、ガスボンベは週に一本で納めていると。いや、それ、すごすぎませんか!?
稲垣さんと話していると、そこに無理はない。エアコンがないならどうしたらいいか? 冬は湯たんぽを使うことで一番心地よい暖かさを見つけ、夏の夜は窓を開けて床に寝ることで、風の心地よさを知る。驚いたのは、ある時、蚊が近づいてきて、その蚊の羽から風が出ていることに気づいたという話。蚊は嫌じゃないのだと。すげーーー。お坊さんみたい。
稲垣さんと話していて気づいたこと。便利だと思っていた家電が実は、ストレスになっていることが多い。
確かに、季節の変わり目とか、冷房やドライ、色々やってみるけど、結局ベストなものが見つからない。小さなストレスを感じている。だとしたら、家電に頼ることはやめて、まず、「ない」ところから、新たな発見をしていくのがよいのだと。