著者提供

 相手が怒りにまかせて攻撃してくるのには、その人なりの理由や価値観があるはずです。それを想像しようとしても、わからないことはやっぱりわかりません。

 そんなときは、

「そうですか。○○さんは、そう思われているのですね」

 といったん受け止めるように見せて、さらりと自分の外側に流しておきます。まともに聞いていたら、理解できないダメージをこうむるだけですしね。

■会話に「勝ち負け」なんてない

 こういった相手の言い分は“心で”受け止めることは必要ありません。「私にはない考え方だな~」「これは新しい価値観!」と心の中でスルーするつもりで。たくさんの人と関われば関わるほど、ニュータイプの爆発物、導火線との出会いも増えます。

 不毛な摩擦や衝突は自分を無駄に疲れさせるだけ。不条理な怒りをぶつけられている瞬間も、“心”にまで踏み込まれないよう「どうしたって自分には無理な価値観だし、染まる必要もない」と流しておきましょう。

「論破」という言葉もよく聞くようになりましたが、会話に「勝ち負け」を持ち込んでくる人がいたら、いったん深呼吸。

「はいはい、ここは負けるが勝ち」

 と、心の中で唱えてみれば、無駄な戦いから気持ちよく降りられます。相手と自分の感情に振り回されて一喜一憂しない。

 ゴールのない不毛なやりとりであれば、「これは私とは違う文化の人だから仕方がない」と割り切ります。あなたの心を守るためにも、自分から物理的、心理的距離をとりましょう。

 あなたにはあなたの大切な時間がありますし、大切にすべき人たちがいます。

 限りある人生で、どうやったって合わない人を理解する努力は不要。そのエネルギーと時間は、自分自身を大切にするために、そして大切な誰かを愛するために使いましょうね。

【ここまで聴いてくれたあなたへ】
あなたの限りある大切なエネルギーを、使わなくていい相手に使っていませんか?

(構成/小川由希子)

[AERA最新号はこちら]