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その後も何度となく同じようなことがありましたが、具体的に何について注意を受けているのか、何を改善すべきなのか説明がありません。直すべきことがあれば直したいと思っても、こちらが質問をはさむことすらできない状況なのです。
そうした状態が続くうちに、このままでは自分の気持ちが参ってしまうと思い、こう考えることにしました。
どうしたって相手の「価値観」や「感情」は自分と合わないのだから、合わない相手によって否定された気持ちになったり、落ち込んだりするのは損だ、と。
私がそう感じているということは、その人も私に対して、「なんで、わかってくれないのか!」と歯がゆさや憤りを感じていたことでしょう。
言葉を尽くそうとしてもわかり合えないならば、私の場合は、その場を離れるという意味でひとまず謝ってしまいます。
それで自分らしさが失われるわけでもないですし、負けるわけでもない。
そもそも、コミュニケーションは勝負ではありません。
■戦いは避ける、無理な理解もしない
そのことがあってから、誰かから一方的な意見や感情を浴びせられたら、ひとまず言いたいことをすべて言わせてしまい、その時点では反論はしない、というのが私の基本姿勢です。
人それぞれの対処法があると思いますが、前著でも書いた通り、「心の防水加工」をして、とりあえずやり過ごすという方法が私には向いているようです。
人は自分が言いたいことをすべて言い終えたら、それなりにスッキリします。延々と続くことはない、と思って、相手の言葉は自分の内側に入れず、頭の外につけた見えない雨どいに静かに流していく感覚です。
途中で口をはさんだりすると、「その態度はなんだ! そういえばあのときも……」とかえってカミナリ源を供給してしまいますから。
もちろん、こちらにも怒りが湧いてきます。でも、反論したところで、相手がそもそもこちらの言い分に耳を貸す気がない、最後は絶対自分が言い負かしてやるというタイプは、ますます頑なになるだけ。