大学生の投手では武内夏暉(国学院大)、村田賢一、蒔田稔(ともに明治大)、松本凌人(名城大)、上田大河、高太一(ともに大阪商業大)、坂元創(九州共立大)などが注目を集めたが、圧倒的なパフォーマンスを見せたのが松本だ。3試合すべてにリリーフ登板すると、6回1/3を無失点、9奪三振を記録。ストレートの最速は151キロをマークしたが、これは今大会で登板した全投手の中でもナンバーワンの数字だった。ストレートと同じ軌道から鋭く変化するスライダー、カットボール、フォークも一級品で、変則的なサイドスローというフォームも打者にとっては厄介である。リリーフであれば早くから戦力になる可能性もあり、有力な上位候補となりそうだ。

 野手では進藤勇也(上武大・捕手)、有馬諒(関西大・捕手)、伊藤雄紀(名城大・一塁手)、上田希由翔(明治大・三塁手)、辻本倫太郎(仙台大・遊撃手)、塩崎栄多(名城大・外野手)などが候補となる。中でも進藤は守備、打撃ともに今年の大学4年生の中に入れてもトップレベルで、大学日本代表にも選出されている。少しスローイングが雑になる時があるのは気になるものの、能力の高さは抜群だけに上位指名も狙えるだろう。また上田、辻本の2人も大学日本代表に選ばれているが、ともに攻守で見事なプレーを見せ、改めて能力の高さを示した。

 改めてまとめると高校生では前田と真鍋、大学生では松本、進藤、上田、辻本が力を見せた大会という印象だった。彼ら以外にも素材としては楽しみな選手は少なかっただけに、春にはさらに成長した姿を見せてくれることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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