さらにチームを率いるズラトコ・ダリッチ監督は、2017年10月に就任して前回大会でチームを準優勝に導いた手腕の持ち主。日本の森保一監督よりも2歳上の56歳。選手としては国内リーグのみのプレーで世界的な実績は乏しく、監督としても欧州トップリーグでの采配経験はないが、その代わりに2010年からカタールの隣国であるサウジアラビアで4年間、UAE で4年間指揮を執り、国内でリーグ&カップ戦のタイトル獲得にACL準優勝などの結果を残した。この中東での経験と成功は、母国代表を率いて2度目のW杯に臨んでいる今大会でもメリットになっているはず。もちろん前回大会準優勝の自信もあり、W杯での戦い方、トーナメントの勝ち上がり方も知っている。

 それでもクロアチアが前回大会よりも力が落ちていることは間違いなく日本が勝てる確率は、ドイツ、スペイン相手よりも高いだろう。マンジュキッチが代表引退して以降、最前線のCFにも適任者を欠いており、今大会も絶対的な強さはない。そして日本が優位に立てるポイントとして、過密日程の中でのコンディションにある。日本が第2戦でスタメン5人を入れ替えるターンオーバーを採用したのに対し、クロアチアは3戦を通じてスタメン変更は1人のみで、第2戦と第3戦は全く同じ。

 コバチッチこそ28歳だが、モドリッチが37歳、ブロゾビッチが30歳、ペリシッチが33歳、クラマリッチが31歳と中心選手が30歳オーバーとなっている。第3戦のベルギー戦は攻守にインテンシティの高いゲームとなり、肉体的なダメージは必ずある。伝統的に血の気の多い点も、付け入る隙になる。準優勝した前回大会を振り返っても、決勝トーナメントでは1回戦のデンマーク戦(1対1、PK4対3)、準々決勝のロシア戦(2対2、PK4対3)と2試合連続のPK勝ちだった。勝敗を分ける上で、時に最も重要となる「勢い」と「運」は、日本の方が持っているはずだ。

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クロアチア戦で“警戒”すべきは?