同点ゴールを決めた堂安(写真右)と雄叫びを上げる長友(写真/アフロ)
同点ゴールを決めた堂安(写真右)と雄叫びを上げる長友(写真/アフロ)
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「試合2日前の段階では、違うプランを考えていた」

【写真】“ミリ単位”とも呼ばれる判定につながった決定的瞬間

 ポイントは11月29日の非公開練習にあった。森保一監督とコーチ陣が“スペイン対策”として準備していたのは、おそらく3-5-2システム(前線は2トップ+1トップ下の3-4-1-2)。4-3-3システムのスペインに対して、日本の2トップが相手センターバックに制限をかけ、スムーズにビルドアップさせない狙いがあったのだろう。

 だが、実際のピッチ上で展開されたのは3-4-2-1だった。守備の局面で5-4-1になる陣形を採用した。ドイツ戦は後半から、コスタリカ戦は前半途中から3バック(両ウイングバックが3バックの両脇に下がった5バック)に形を変えたが、この日はスタートから相手の攻撃を5-4-1で受け止めた。

「確認したところ、選手からもいろいろと話が出ていました。私自身もまだ戦術的に確定させるということではなく、われわれスタッフもいくつかの選択肢を持っている中で、練習で試してみて、そして話し合いの中でキャプテンがその選択肢を伝えてくれました。いろいろな選択肢の中で今日の形ということになり、昨日(30日)の練習で、ピッチ上で確認して今日(1日)、実践してくれた。まずは5―4―1で相手にボールを握られてもしっかり守るということを選手たちが実践してくれました。この選択肢はチームで考えて、ということです」

 スペイン戦を勝利で終えたあとの会見で、指揮官が明かした。

■ハードタスクだった鎌田と久保

 ここではなぜ5-4-1を採用するに至ったのか、考えてみたい。選手が適応できるかどうかに加えて、システムのかみ合わせも問題もある。

 3-4-2-1から守備の局面で5-4-1に変わる際の仕組みはこうだ。相手にボールが渡った瞬間、ファーストディフェンダーとしてボール保持者にプレスに行くのが基本だが、行けない場合は即座に帰陣する。2シャドーはそれぞれ2ボランチの外側に下がり、4人で中盤に横一列のラインを形成。その後方では両ウイングバックが3バックの外側にそれぞれ下がって5バックの形をつくり、5人のディフェンスラインと4人のMFのラインで5-4のブロックを組み上げてスペインの攻撃を迎え撃った。

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スペイン戦の大きな勝因とは?