ヤクルト・長岡秀樹
ヤクルト・長岡秀樹

 強いチームには二遊間の選手が安定していることが多い。2000年以降のチームで真っ先に思い浮かぶのが中日の荒木雅博、井端弘和の“アライバコンビ”ではないだろうか。2004年から6年連続で2人揃ってゴールデングラブ賞を受賞。記者投票によって選ばれるため、近年はその選考に疑問が多い同賞だが、当時のあらゆる守備指標を見てもこの2人は常にリーグ上位の数字をマークしており、揃って球界トップクラスの守備力を誇っていた。

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 またこの2人が秀でていたのは守備だけではない。荒木は2004年から6年連続で30盗塁以上を記録し、井端もこの期間に打率3割を3度記録するなどリードオフマンとしてもチームに欠かせない存在となっていたのだ。球史に残る二遊間コンビであることは間違いないだろう。

 では現在のプロ野球界で最高の二遊間コンビは誰になるのだろうか。攻守両面の総合力でまず挙がるのが西武の外崎修汰と源田壮亮の2人だ。守備面では源田はプロ入りから5年連続でリーグ最多の補殺数を記録。今シーズンは新型コロナウイルス感染で108試合の出場に終わったこともあって補殺数を大きく減らしたものの、5年連続でゴールデングラブ賞を受賞している。一方の外崎も入団直後はあらゆるポジションで起用されていたが、2019年からはセカンドのレギュラーを獲得すると、それ以降の4年間で3度リーグ最多の補殺数をマークし、ゴールデングラブ賞も2度受賞している。

 またこの2人に関しては単純な補殺数だけでなく、セイバーメトリクスが示す多くの指標においても12球団でトップクラスの数字を示しているのだ。一方で課題となっているのが打撃面だ。外崎は2019年の146安打、26本塁打が目立つがそれ以降は目立った数字を残していない。源田も今年は入団後最低の安打数、打率に終わった。このオフには外崎が4年、源田が5年という長期契約を結んでチーム残留となったが、球団とファンの高い期待に応えるためにも、来年は攻撃面でも成績を伸ばしてくれることを期待したい。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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今後“最高のコンビ”になれる2人は?