菅氏と親しかった自民党関係者はこう話す。
「中途半端な形で政権が終わり、それは悔しかったでしょう。人には言えないさまざまな苦しみがあったと思います」
首相を退いて以降は静かだった菅氏が再び注目を浴びたのは、安倍氏の国葬で読んだ追悼の辞だった。
「安倍さんを『あなた』と呼び、出会った頃の会話や2人で銀座の焼き鳥屋へ行った時の秘話を披露するなど、情感がこもっていました。さすがは安倍さんの女房役だったことはあると、党内からも再評価された」(前出・自民党関係者)
12月11日に投開票された逗子市長選では、候補者だった桐ケ谷覚逗子市長の応援に駆けつけ、首相時代の“功績”もアピール。「総理大臣の時にお約束した『不妊治療の保険適用』が本日から始まりました」という自身のツイートに触れ、「『いいね』が50万件近くついて驚いた。もっと早くやるべきだった」などと語った。このほか、19日には東京タワーのイベントスペースで開かれた安倍氏の写真展に顔を出すなど精力的に動いている。
首相時代の所信表明演説で宣言した「カーボンニュートラル」の実現に向けての発言も目立つ。8月には関連施設の視察などを行った。
「菅さんがカーボンニュートラル宣言をされて、将来に向けて新しい投資をしなければならないという道筋をつくった」(前出・山本市議)
一方で、菅政権の後に誕生した岸田内閣は支持率が低迷している。毎日新聞の世論調査(12月17~18日)では、岸田内閣の支持率は、政権発足以降最低の25%。朝日新聞の世論調査(17~18日)でも、支持率は31%と内閣発足以降最低となった。
支持率急落の背景には、岸田首相が防衛費増額のために1兆円を超える増税を進めようとしていることへの国民の不満がある。
1兆円の財源を巡っては、自民党内からも反対意見がわき起こった。高市早苗経済安保担当相はツイッターで「賃上げマインドを冷やす発言を、このタイミングで発信された総理の真意が理解できない」と発信。高市氏は、安倍氏に思想・信条が近く、この時も「閣僚の任命権は総理にありますので、罷免をされるというのであればそれはそれで仕方がない」と強気な姿勢をみせたことで、「高市の乱」とも騒がれた。