防衛費増額のための増税を打ち出した岸田文雄首相が、増税の前に「選挙はあると思う」との考えを示した。この発言の直前には、「政治とカネ」の問題などで批判された秋葉賢也復興相を事実上、更迭。来年1月から始まる通常国会を見据えた動きと見られている。ただ、岸田首相にとって不都合な人材は、他にもいるようだ。
【写真】岸田首相に「罷免されても仕方がない」と答えた閣僚はこちら
12月27日、秋葉復興相は、岸田首相に辞表を提出した。さらに、差別発言が問題となった杉田水脈(みお)・総務政務官についても岸田首相は同日、事実上、更迭した。
そして、その日の夜、岸田首相は民放のBS番組で、増税をする前に衆院の解散・総選挙をする考えがあるかについて聞かれ、「それまでには選挙はあると思う」と発言した。
官邸関係者がこう話す。
「岸田首相は当初、年明けの通常国会は秋葉氏で乗り切りたいとの意向だった。しかし、秋葉氏は、公設秘書2人に選挙運動の報酬を支払っていたことをめぐる問題などだけではなく、旧統一教会と深い関係にあるという話も浮上してしまい、このままでは国会を乗り切るのは厳しいと考え、年内での重要な日程が消化されたところで交代を決めたようです」
秋葉氏だけではなく、月刊誌で、子どもをつくらない同性カップルは「生産性がない」と評し、ブログに「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさん」との記述を書き込んだ(その後撤回)杉田・総務政務官についても、同様の理由で交代を決めたようだ。
「杉田氏については、いくら安倍晋三元首相のお気に入りとはいえ、政務官がここまで政権の足を引っ張るのはさすがにまずい、ということになり、この機会に交代させる方向になったようだ」(前出の官邸関係者)
だが、秋葉氏ら以外にも、岸田首相にとって悩みのタネになりそうな人物はまだまだいる。
「賃上げマインドを冷やす発言をこのタイミングで発信された総理の真意が理解できない」
「メディアを使って『総理周辺』という匿名で『文句を言うなら、辞表を出せ』と私を批判しているひきょうな人に屈するつもりはありません」
とツイッターで主張し、岸田首相と意見が異なったことで、
「罷免(ひめん)されるならば仕方がない」
とまで記者会見で踏み込んだ高市早苗経済安全保障担当相。