「郵政民営化は、郵便事業など実質は国がやっているような分野を民間に解放し、景気回復を目指すという前向きな内容でした。当時、郵政民営化に反対する議員はたくさんいたが、政権基盤は安定していたし、小泉氏の支持、人気もあった。今回のように、国民に新たな負担を強いるような、防衛費増額に伴う増税という“ワンイシュー”で解散・総選挙なんてしても、今の岸田首相では勝てませんよ」
と「郵政解散」のときとの違いを示した。さらには、
「安倍元首相の場合は、何度も政権は揺らいだけれど、良いか悪いかは別にして、確固たる国家観があり、それに官邸や安倍人脈はついていき、後押しした。しかし、岸田首相にはいま一つ、天下国家とは何か、国をどうしたいのか、という部分が見えない。死んでも岸田首相を支えるという仲間がいないことも、支持率低迷の根幹にあるのではないか」
との見解を述べた。
そして、なにより岸田首相の“ネック”となるのは、高市氏ではないかと見ている。
「高市氏は昨年の総裁選で岸田首相と争った。小泉政権時代であれば、外相だった田中真紀子氏に似ています。小泉氏が田中氏のクビを切ったら、一気に支持率が下がった。しかし、あのときは小泉氏自身も人気が高く、すぐに回復していった。高市氏も、田中氏と似た雰囲気があり、国民的人気があります」
そのように見立て、こう続けた。
「高市氏は、今回は強気で、気に入らないなら『罷免しろ』とまで口に出している。もし、交代でも内閣改造でも、高市氏を外すことがあれば“火薬庫”に火が付きかねない。今の岸田首相は小泉氏のような個人の人気はない。それこそ『岸田首相の次は誰だ』と逆の流れになりかねない」
(AERA dot.編集部 今西憲之)