――国債以外に財源を賄う方法はないのでしょうか。
もし国債がダメでも、庶民への増税に頼らない方法はいくらでもあります。政治家の文書通信費(現、調査研究広報滞在費)や、赤坂にありながらも超格安の議員宿舎など、見直しをするべきです。国家公務員の給与も大企業の正社員の給与並みになっており、非正規や中小企業なども含めた民間給与の平均より54%も高いです。極論ですが、国家公務員の給与を民間給与並に削減すると、2・9兆円も捻出できます。
年間所得が1億円を超えると、所得税の負担率が下がる「1億円の壁」もおかしな話です。財務省によると、所得税と社会保険料の負担率が、年間所得300万~400万円の人と比べ、100億円の人のほうが低いことがわかっています。
また、日本人がドバイで暗号資産を売ってもうけると課税されない、といった抜け道もある。富裕層に課税すれば、2兆円でも3兆円でも出てくるのではないかと見ています。
増税前にこうした構造的な問題を一つひとつ議論していくべきです。こうした状況を放置して、搾れるところから搾り取ろうなんて、こんなバカなことがあっていいわけありません。
――岸田首相は当初、「所得倍増計画」を掲げていましたが、負担が増えています。
防衛費増額による増税のほかにも、岸田首相が掲げる「子ども予算の倍増」のためには「消費増税が必要」と自民党から声が上がっています。さらには、これまで免税事業者だった中小企業や個人事業主から消費税を徴収しようとしています。
このままでは国民負担率は50%を超えるように思えます。江戸時代では四公六民(収穫高の4割が税、6割が農民の所得)だったのが、幕府の財政悪化で五公五民になり、農民が窮乏化した結果、全国で百姓一揆が起きました。今の日本でもこれ以上負担が増えると経済が窒息し、国民の生活も回らなくなりますよ。
岸田首相は就任当初、金融所得課税を強化し、富裕層からの富を分配すれば、経済成長の好循環が始まると主張し、国民の所得を増やす「所得倍増計画」を掲げていました。それを聞いたときは、「正しい考えだな」と思いましたね。だけど、いまや完全にうそつきだとわかりました。これまでの施策を見ていると、「税金倍増計画」を断行しているように見えます。