「結局、裁判を起こしても、与党が今のままだと変わりようがないということが分かりました。そんななかで選択的夫婦別姓を本当に実現させたいと思ったら、やっぱり有権者一人一人が投票によって政治家を選ぶしかない。夫婦別姓に反対している人の多くは、同性婚も反対しています。いわば多様な結婚を認めたくなくて、今までの形の結婚しか、結婚と認めてはダメだという。でも政治家の仕事って、困っている人を助けることも役割の一つでしょう? 困っている人がいるのに助けようともせず、時代に合わない意見に固執している政治家は、落選してくださいという活動です」(青野さん)
あくまでヤシノミ作戦は、青野さんの“個人プロジェクト”。団体で活動すると政治団体として見られる可能性があることなどから、「グループでやると面倒なことが多そう」だと感じ、個人で活動の輪を広げている。
「だから選挙前になると、政治家一人一人を調べてリストアップしていくので、深夜作業が続いて大変です(笑)。地味な作業ですけど、それなりに効果が出てきていると感じます」(同)
企業のトップを務める社長のなかには、政治的な“色”がつくことを恐れ、こうした政治的な活動から距離を置く人も多い。個人プロジェクトとはいえ、上場企業の社長業に影響はないのだろうか。無粋な質問をぶつけると、「おかしいと思ったら声を上げる。ただそれだけです」と、ごくシンプルな回答が返ってきた。いわく、会社がうまくいくこと以上に、社会をよくしたいと思ってやっている。それが社会を構成する“個人”としての責任だと信じているという。
「うちの会社でも、“おかしいと思ったら入社1日目でも声を上げるのが社員の責任だ”と徹底しています。だから例えば僕のSNSに対しても、社員から“言っていることがおかしい”とか、批判の声が飛んでくることがよくありますよ。でもそうやって声を上げることからしか、何も始まらないと思うんです」(同)