来年3月に開催されるWB。侍ジャパンに内定した選手の中で、歴史的な選出と言われるのが日系選手初の日本代表となったカージナルスのラーズ・ヌートバーだ。
オランダ系米国人の父親、日本人の母親を持つ25歳。NPBでプレーする選手は森下暢仁(広島)、高橋奎二(ヤクルト)、小笠原慎之介(中日)、オコエ瑠偉(巨人)らが同学年だ。ヌートバーは米国で生まれ育ったが、南カリフォルニア大在籍時に日本に語学留学した経験があるという。
メジャーでは若手の成長株として、将来が嘱望されている。昨年は108試合出場で打率.228、14本塁打、40打点。身長190センチ、体重95キロの恵まれた体格で左打席からの長打力が魅力だ。右足を高々と上げる打法で引っ張りの打球が多い。確実性を磨く必要はあるが選球眼が良く、出塁率.340と打率より1割以上高い。体の軸がブレず、左投手を苦にしないのも強みだ。俊足と強肩を生かした外野の守備に定評があり、右翼と中堅を守る。
スポーツ紙記者は、「侍ジャパンは中堅が固まっていない。近本光司(阪神)は俊足で広角に安打を打ち分けるのでリードオフマンとして申し分ないが、外野の守備で肩が弱い。塩見泰隆(ヤクルト)も身体能力が高く、魅力的な選手だが好不調の波が激しいのがネックです。ヌートバーはレギュラーの最有力候補でしょう」と分析する。
NPBでプレー経験がないため、日本での知名度は低く、その素顔はベールに包まれている。日本語は単語で話せる程度のため、侍ジャパンに溶け込めるか懸念の声もあるが、米国でメジャーを取材する通信員は「その心配はないでしょう」と笑う。
「ヌートバーは明るい性格でナインにもファンにも愛されている選手です。ソフトバンクから巨人に移籍した松田宣浩に重なる部分があります。喜怒哀楽を前面に出すプレースタイルで、とにかく熱い。チームに溶け込むためにコミュニケーションを積極的に取るでしょうし、同じメジャー組の大谷翔平、鈴木誠也が他の選手との橋渡し役をしてくれるはず。侍ジャパンに大きなプラスアルファをもたらすことは間違いない」