術後は数日で歩行訓練ができ、リハビリも含めて約2週間と、早期の社会復帰が可能なのもメリットです。術後は衝撃の少ない活動に制限されることもありますが、スポーツも発症前に行っていた種目に復帰することも可能です。
■ナビゲーションやロボット手術でより確実な手術が可能に
人工股関節置換術は術者の技術的な熟練度に頼るところが大きく、精度が低いと脱臼やゆるみなどの合併症を引き起こす原因になってしまいます。そこで、股関節の3D画像を用いて脱臼しにくい角度に設置できるように術前計画を立てるナビゲーションシステムの導入が進んでいます。また、一部の病院では計画通りに骨を削るためのロボット手術も導入されています。
「ロボット支援手術では、ナビゲーションシステムで角度や位置を確認しながら、ロボティックアームで傷んだ骨を削り、人工関節を設置します。確実で平均的な手術が可能です」(柴沼医師)
変形性股関節症は進行するほど、治療の選択肢は限られていきます。若年で関節の変形が少ないほど、骨切り術で自分の骨を温存できる可能性もあるため、手術を希望する場合は早めに検討したほうがいいでしょう。また、変形性股関節症は徐々に進行していくため、いったんよくなったように思えても、ふたたび痛みがぶり返すことがあります。痛みを「年齢のせいだから仕方ない」と思わずに、早めの受診が大切です。
(文・石川美香子)
【取材した医師】
神戸海星病院病院長 柴沼 均 医師
座間総合病院 人工関節・リウマチセンターセンター長 草場 敦 医師
「股関節の痛み」についての詳しい治療法や医療機関の選び方、治療件数の多い医療機関のデータについては、2023年2月27日発売の週刊朝日ムック『手術数でわかる いい病院2023』をご覧ください。