第100回夏の甲子園では優勝した大阪桐蔭の主力として活躍した中日・根尾昂(左)とロッテ・藤原恭大(右)(写真提供・中日ドラゴンズ/千葉ロッテマリーンズ)
第100回夏の甲子園では優勝した大阪桐蔭の主力として活躍した中日・根尾昂(左)とロッテ・藤原恭大(右)(写真提供・中日ドラゴンズ/千葉ロッテマリーンズ)
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 近年の甲子園大会で最も盛り上がりを見せた大会となると、第100回記念となった2018年夏の選手権ではないだろうか。吉田輝星(現・日本ハム)を擁する金足農(秋田)が横浜(神奈川)、近江(滋賀)、日大三(西東京)という強豪を次々に撃破して決勝進出。近江戦のサヨナラ勝ちなど劇的なシーンとともに巻き起こった“カナノウフィーバー”は東北だけでなく全国でも大きな話題となった。

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 そしてその金足農を決勝で破った大阪桐蔭(大阪)は根尾昂(現・中日)、藤原恭大(現・ロッテ)という2人のスターを中心に史上初となる2度目の甲子園春夏連覇を達成。この年から大阪桐蔭の人気がさらにアップしたことは間違いないだろう。またこの年のドラフト会議も根尾と小園海斗(報徳学園→広島)に4球団、藤原に3球団が競合し、吉田と太田椋(天理→オリックス)もいわゆる“外れ1位で”指名を受けており、高校生が話題の中心となっている。

 彼らがプロ入りしてから4年間が過ぎ、今年は同学年で大学に進学した選手もルーキーとして多く入団しているが、この年代の出世レースはどうなっているのだろうか。まず投手で完全に頭一つリードしている存在となっているのが戸郷翔征(聖心ウルスラ→巨人6位)だ。6位指名とプロ入り時点での評価は高くなかったが、1年目に早くも一軍でプロ初勝利をマークすると、2年目からは先発ローテーションに定着。プロ4年間で通算31勝をマークしており、今年開催されるワールドベースボールクラシック(WBC)の侍ジャパンにもこの世代で唯一選出された。

 評価が低くなった原因としてはテイクバックが大きく、肘が前に出ないいわゆる“アーム式”の腕の振りで、肩にかかる負担が大きいという見方が多かったからだと言われているが、プロ入り前もプロ入り後も大きな故障はなく、順調にステップアップしているのは見事だ。今年はタイトル争いに加わることも期待できるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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