「まずは抗アレルギー薬や抗菌薬の内服で治療します。軽快しない場合はステロイドによる薬物療法をおこなったり、鼻茸を伴う場合はそれを切除する手術をおこなったりします。手術後も再発が多く、手術を繰り返す人もいます」
慢性副鼻腔炎に対する内視鏡手術は有効性が高いが、好酸球性副鼻腔炎に対しては再発が多いというデータもある。しかし、近年では好酸球性副鼻腔炎に対しても、術後も適切に経過観察をおこない、再び症状が悪化した際にも適切に対応することで、病状コントロールはかなり良好になっているという。
「かつてのように『好酸球性副鼻腔炎は手術しても再発するから無駄』という病気ではなくなってきています」(前田医師)
ステロイド以外に明確に効果がある治療が乏しいとされてきたが、新たに、「切り札」の注射薬が登場している。デュピルマブ(商品名:デュピクセント)だ。アトピー性皮膚炎や気管支ぜんそくの治療薬として知られている。
「手術を繰り返しても鼻茸が再発してしまうような重症の場合に限り、使える薬です。デュピクセントを注射すると、鼻炎症状の改善や維持、鼻茸が小さくなるなど、これまでの治療では改善がみられなかった人でも、かなりの割合で治療効果がみられます」(大場医師)
好酸球性副鼻腔炎は免疫細胞から作られる物質が病状を悪くしていることがわかっている。デュピクセントはこれらの物質の働きを抑えることで鼻や副鼻腔の炎症や鼻症状を改善する薬だという。
「やや高価な薬ですが、医療費助成制度を使うことで自己負担を比較的軽くすることができる場合も多いので、医師にご相談ください」(前田医師)
(文・石川美香子)
※週刊朝日2022年2月4日号より