「ぜんそくを合併していることが多く、鼻づまり、鼻茸(鼻ポリープ)、嗅覚障害などが特徴です。おそらく以前から、鼻茸の多発や、治療後も症状が再燃しやすい難治性の慢性副鼻腔炎として存在していたと思いますが、最近になって病気として認識されるようになってきたのだと思います」
現在、慢性副鼻腔炎の治療にはどのような方法があるのだろうか。
「汚い膿が出るタイプの非好酸球性の慢性副鼻腔炎の場合は、低用量の抗菌薬を長期間内服する治療をします。改善しない場合は手術をおこないます」(大場医師)
慢性副鼻腔炎に対しては、かつては口の中を切る手術がおこなわれ、術後は顔が腫れることが多かったが、近年は鼻から内視鏡を入れておこなう低侵襲な手術が標準的になっている。さらに、鼻の中のどこを触っているかがわかる「ナビゲーションシステム」の導入など、機器の進歩とともに、より精密な手術が可能になっている。
「慢性副鼻腔炎に対する内視鏡手術は確立された手術で、有効性が高いものです」(前田医師)
特殊な副鼻腔炎にも注意する必要がある。その一つが、歯が原因となる「歯性副鼻腔炎」だ。
「上の歯の一部の歯根は副鼻腔の上顎洞に近接しているため、歯根の病変が影響して副鼻腔炎を起こすことがあります。この場合には鼻の治療と併せて、歯の治療や抜歯も必要になる場合があります」(同)
また、副鼻腔炎と同様の症状を起こすカビ(真菌)が原因の「副鼻腔真菌症」という病気もある。カビが副鼻腔内に入り込んで真菌塊をつくり、ときには炎症を起こして片方の鼻から膿性もしくはネバネバした鼻水が出ることもある。放置すると「浸潤型真菌症」という重篤な病気に移行することがあるので、原則として手術による治療がおこなわれる。ほとんどの場合は経鼻内視鏡を用いた手術が可能だ。
■難治性の副鼻腔炎に「切り札」登場
難治性の好酸球性副鼻腔炎の治療についてはどうだろうか。大場医師はこう説明する。