トロ 炒め物については、家で作るのを躊躇する人は多そう。僕たちは町中華の厨房を「スタジアム」、カウンターを「アリーナ席」と呼んでいるんだけども(笑)、アリーナ席で調理する様子を見ていると、強火で手早く作っているのがわかるよね。火力、スピード、それにラードが大切。
マグロ 町中華のご主人に「家庭のコンロは火力がないのでどうすればいいのか」と聞いたら、「長時間炒めればいい」と教えてもらった。「チャーハンは少し焦げがつくくらいが美味しい」って。僕たちが「これでいい」と思うより、もうちょっとだけ長く炒めるといいそうだよ。
トロ 僕はパフォーマンスとして捉えているから、豪快に炒めるのが気持ちいいんだけどね。家族からは「そういうことじゃない」「まだかたい」って不評(笑)。こんなふうに町中華は家で作れもするし、日本中どこでも楽しめるところが面白いよね。まずは家と最寄り駅の間や職場の近所で、行ったことのないお店があれば行ってみてほしい。「行こう!」と気負うのではなく、「今日はお金がないから町中華で」みたいに。きっと自分に合うお店や味が、一つは見つかると思う。
マグロ 僕も「このお店に行け」ではなくて、「あなたのおうちの周りにも町中華はない?」「今行かないとなくなっちゃうよ」と伝えたい。すぐに入らなくてもいいので、まずは存在を確認。次のステップで、“食べ支え”のためにちょっとだけお金を使っていただきたいよね。
トロ 町にないと寂しいものだからね。「お客さんいるのかな」「いくらかな」とか、店の前のショーウィンドウにどれくらいホコリがたまっているかな、なんて関心を持っていただければ、そのうち入りたくなると思う。「ここだ」とお店に呼ばれる瞬間がくるはずなので。
(構成 団野香代/生活・文化編集部)