北尾トロ/ノンフィクション作家。1958年福岡県生まれ。2014年より町中華探検隊を結成。著書に『夕陽に赤い町中華』(集英社インターナショナル)、『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』(文春文庫)、『町中華とはなんだ』(共著 角川文庫)など多数(撮影:キムラミハル)
北尾トロ/ノンフィクション作家。1958年福岡県生まれ。2014年より町中華探検隊を結成。著書に『夕陽に赤い町中華』(集英社インターナショナル)、『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』(文春文庫)、『町中華とはなんだ』(共著 角川文庫)など多数(撮影:キムラミハル)

トロ 炒め物については、家で作るのを躊躇する人は多そう。僕たちは町中華の厨房を「スタジアム」、カウンターを「アリーナ席」と呼んでいるんだけども(笑)、アリーナ席で調理する様子を見ていると、強火で手早く作っているのがわかるよね。火力、スピード、それにラードが大切。

マグロ 町中華のご主人に「家庭のコンロは火力がないのでどうすればいいのか」と聞いたら、「長時間炒めればいい」と教えてもらった。「チャーハンは少し焦げがつくくらいが美味しい」って。僕たちが「これでいい」と思うより、もうちょっとだけ長く炒めるといいそうだよ。

トロ 僕はパフォーマンスとして捉えているから、豪快に炒めるのが気持ちいいんだけどね。家族からは「そういうことじゃない」「まだかたい」って不評(笑)。こんなふうに町中華は家で作れもするし、日本中どこでも楽しめるところが面白いよね。まずは家と最寄り駅の間や職場の近所で、行ったことのないお店があれば行ってみてほしい。「行こう!」と気負うのではなく、「今日はお金がないから町中華で」みたいに。きっと自分に合うお店や味が、一つは見つかると思う。

下関マグロ/1958年山口県生まれ。出版社、広告代理店を経てフリーライターに。散歩や食べ歩きの原稿をネットを中心に書いている。主な著書に『歩考力』(ナショナル出版)、『ぶらナポ~究極のナポリタンを求めて』(駒草出版)などがある(撮影:キムラミハル)
下関マグロ/1958年山口県生まれ。出版社、広告代理店を経てフリーライターに。散歩や食べ歩きの原稿をネットを中心に書いている。主な著書に『歩考力』(ナショナル出版)、『ぶらナポ~究極のナポリタンを求めて』(駒草出版)などがある(撮影:キムラミハル)

マグロ 僕も「このお店に行け」ではなくて、「あなたのおうちの周りにも町中華はない?」「今行かないとなくなっちゃうよ」と伝えたい。すぐに入らなくてもいいので、まずは存在を確認。次のステップで、“食べ支え”のためにちょっとだけお金を使っていただきたいよね。

トロ 町にないと寂しいものだからね。「お客さんいるのかな」「いくらかな」とか、店の前のショーウィンドウにどれくらいホコリがたまっているかな、なんて関心を持っていただければ、そのうち入りたくなると思う。「ここだ」とお店に呼ばれる瞬間がくるはずなので。

(構成 団野香代/生活・文化編集部)

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