長髪を後ろで縛り、真っ黒に焼けた肌で独特のオーラを放つ。レッドソックスを退団し、3年ぶりにロッテに復帰した澤村拓一が、第1クール最終日の5日から沖縄県の石垣島で行われている春季キャンプに合流した。
【ランキング】2022年セ・リーグ個人年俸上位20傑はこちら
スポーツ紙記者は、昨季5位に沈んだロッテで澤村の加入効果は大きいと語る。
「ロッテはおとなしい選手が多い。澤村のようにギラギラした投手が入ることで、若手たちは勝利への飢え、執着心を感じられるでしょう。3年前にロッテでプレーした時も、ある選手が『もっと取っつきにくい人かと思ったら全然違った。トレーニング理論に詳しいし、いろいろ教えてくれる。優しい先輩ですよ』と話していました。吉井理人監督の期待も大きいですし、モチベーションは高いでしょう」
澤村は、環境が大きなウエートを占める投手と言えるだろう。巨人では先発で新人から2年連続2ケタ勝利をマークし、救援に転向後は2016年に37セーブで自身初のセーブ王に輝いた。だが、その後は度重なる故障も影響して輝きを失っていく。20年は制球難がやり玉に挙げられ、3軍に落ちたことも。他球団の関係者は「いくら四球を出しても無失点で抑えればいいぐらいの割り切りでいいと思いますよ。150キロを軽く超える直球、スプリットをストライクゾーンに投げられたら連打は難しい。制球力にばかりフォーカスしていたら良さが消えてしまう」と指摘していた。
大きな転機は、同年途中のロッテへのトレード移籍だった。井口資仁前監督は試合を左右する局面で澤村を迷いなくつぎ込む。期待されることを意気に感じる右腕は輝きを取り戻した。22試合登板で2勝1敗13ホールド、防御率1.71をマーク。同年オフにレッドソックスへFA移籍すると、2年間で通算104試合登板し、6勝2敗13ホールド、防御率3.39と救援で奮闘した。
前回、ロッテに在籍していた期間は数カ月。プレーした時間は決して長いとは言えないが、メジャー挑戦で快く送り出してくれた恩義を重んじた。古巣・巨人に復帰する可能性も考えられたが、ロッテのピンストライプのユニフォームに袖を通すことを決断した。