巨人時代から澤村を知るテレビ関係者は「人情味あふれる男です。お世話になった人への感謝を大事にするし、先輩にもかわいがられている。一方で、自分が納得できないことには周りに流されずきっちり意見できる。正直、巨人の最終年はプレーしている姿が窮屈に感じられた。澤村の野球人生を考えて他球団へのトレードを決断した巨人の決断も、評価されるべきだと思います。ロッテのブルペン陣を益田直也と共に引っ張ってほしいですね」と期待を寄せる。

 澤村はメジャー時代を含めた自身の経験を若手投手たちに伝える役割も求められているだろう。その存在が重なるのが、ドジャース、ヤンキースで活躍後に広島に復帰した黒田博樹氏だ。黒田氏は日本球界復帰した15年に11勝、16年にもメジャー時代から7年連続2ケタ勝利となる10勝をマークし、25年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。広島は16~18年と球団史上初のリーグ3連覇を飾ったが、黒田氏と新井貴浩監督の両ベテランの存在が若手たちの道標になっていた。

 今年のパ・リーグは、森友哉がFA移籍してリーグ3連覇を狙うオリックスと、近藤健介、ロベルト・オスナ、有原航平ら大型補強を敢行したソフトバンクの2球団で一騎打ちになるという見方が多いが、勝負事は何が起きるか分からない。澤村は入団会見で、「一人一人が同じ方向を向いているからといって、同じものが見えているわけではなくて、そこの選手一人一人のピントをしっかりと合わせた状態で、1年間戦っていけば、今の戦力でも十分優勝できると思うんで、その先頭に立って引っ張っていけるような存在になりたいなと思っています」と熱い口調で語っていた。

 ロッテを常勝軍団へ――、澤村の新たな挑戦が始まる。(今川秀悟)