このように、専門性の高い間違った回答をChatGPTがした場合、これに気がつけるのは限られた一部の人間のみになります。これはかなりやっかいではないでしょうか。しかも全部が間違いならともかく、正しい最先端の情報にまぎれて間違いが含まれているのですから。

 ChatGPTの問題としては、あやふやな情報でもわからないと答えることなく、回答に強弱がないことです。

 どんな道具も同じですが、うまく使えば便利ですが、間違うと凶器になりえます。医療の分野で考えられるリスクとしては、間違った回答をもとに健康被害が出るといったところでしょうか。アメリカの医師国家試験にChatGPTが合格したとはいえ、一般の人が医療や健康情報でChatGPTを活用するのは、まだ控えたほうがよいでしょう。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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