この記事の写真をすべて見る

米企業が開発した人工知能(AI)「ChatGPT」に米国の医師資格試験問題を解かせたところその正解率は合格ラインに達したというニュースが報じられた。そこで、近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師は、実際にChatGPTに医学の質問を入力し、その回答を専門家の視点で検証してみた。その詳細を報告します。

*  *  *

 いま、ChatGPTが大きな注目を集めています。

「ChatGPTとは、OpenAIによってトレーニングされた大型の言語モデルです。このモデルは膨大なテキストデータを学習し、人工知能のテクノロジーを使って文章生成や質問応答などができます」

 例えば、「ChatGPTとはなんですか?」と入力すると、先のChatGPTを解説する文章が出てくるわけです。

 先日、ChatGPTにアメリカの医師資格試験の問題を解かせたところその正解率は合格ラインに達したと報道がありました。膨大な医学知識を整理し、的確に回答できるChapGPTはこの先、医師に代わって診断や治療方針を決める存在になるかもしれません。

 ただ一方で、ChatGPTは医学の分野ではまだ不完全であると知っておいたほうがよいでしょう。私が専門とするアトピー性皮膚炎に関して、ChatGPTを活用した例を以下にあげます。

※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 質問として、「アトピー性皮膚炎の最新治療について教えてください」とChatGPTに入力した回答です。

「アトピー性皮膚炎の治療は、患者に応じたマルチモーダルアプローチが最も効果的です。これには以下が含まれます:

皮膚保護:抗アレルギー薬や保湿剤、日焼け止めなどの皮膚ケア製品を使用します。
薬物療法:トピックステロイド、トピックカルニチン、シクロスポリンなどが使用されます。
免疫療法:抗原特異的免疫療法(OIT)、免疫モジュレーション療法(IMT)などがあります。
生活習慣の変更:ストレスの管理、適度な運動、健康な食生活などが重要です。
サポートグループ:他の患者との交流や情報交換が有益です。
これらは医師との説明を受けて適切な治療計画を作成することが大切です」

著者プロフィールを見る
大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

大塚篤司の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
シンプルでおしゃれな男女兼用日傘で熱中症を防ごう!軽さ&大きさ、どちらを重視する?
次のページ
医学的な内容は合っているのか?