この時点で既に32歳とベテランだったこともあって、2007年オフには石井一久の人的補償でヤクルトに移籍することとなったが、移籍1年目にプロ15年目にして初の規定打席到達を果たすと、打率.320、9本塁打、61打点、42盗塁という見事な成績を残し、盗塁王のタイトルも獲得したのだ。翌年も打率は落としたものの、136安打、42盗塁を記録して2年連続で盗塁王を獲得。その後は控えに回ることが増え、2012年限りで引退したものの、現役最終年も83試合に出場して48安打、12盗塁(失敗1)とまだまだ余力を感じさせるプレーぶりだった。広島から西武へのトレードも含め、移籍をきっかけにこれほどまで成績を伸ばした選手も珍しいだろう。(文・西尾典文)
●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。