若い時は自身も“ヤンチャ”な印象はあったが、「10代の頃から人間的にしっかりしていた」と語る人も多い。高校時代から投手として飛び抜けた才能があり、2メートル近い長身と甘いルックス。イメージが先行してしまい、とっつきにくい印象を持つ人も多かったが、大きな誤解だったようだ。

「(若い時から)誰に対しても挨拶をしっかりしていた。また面識を持った人の顔と名前を忘れることもない。質問をした時には、時間をかけて考え自分自身の言葉で話そうとしていた。自分を持っている頭の良い男だという印象があります」(高校時代から知るスポーツライター)

 また、プロ入り直後の“過ち”も人間として成長するキッカケとなった。新人時代の春季キャンプ中では、喫煙をしながらパチスロをする姿が写真週刊誌に掲載された。高校卒業前の未成年ということで大問題となり、球団からは無期限の謹慎処分が下されたが、その後に周囲から喫煙による弊害を教えられ、将来を真剣に考えた末にタバコをやめたという。失敗から何かを学び、成長していくというダルビッシュの人間性を表すエピソードだ。

「プロ1年目の事件があった際には、会う人ごとに頭を下げていた。許されないことではあるが、若気の至りの部分もある。そういったことがあっても気にしない選手も中にはいる。しかしダルビッシュは相当反省して、その後のプロ人生の糧にしたのは間違いない」(日本ハムOB)

「ダルビッシュが喫煙をやめたことで、チーム内にプチ禁煙ブームが広まった。プロ入り時からスキル、メンタルなどを徹底的に勉強していたのを周囲は見ていたので誰もが真似した。1年目から周囲に対して影響力が強かったのがわかる一件だった」(日本ハム関係者)

 その後、メジャーに挑戦したダルビッシュは米国でも一目置かれる存在となった。投球メカニクスの細部にまでこだわる野球へのあくなき探求心は多くの投手たちが感嘆するほど。また、米国でも“兄貴肌”な部分も変わらず、2018年にはマイナーリーグでのリハビリ中に自軍のみならず、相手選手にもステーキとロブスターの食事を振る舞ったことが話題となった。

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米国でも“ロールモデル”の一人に