が、時間の経過ととともに、この格差は広がっている現実を見てきた。同じ公立の小学校でありながら、片やドローンやロボットを使って社会の課題を解決するプロトタイプをプレゼンする授業をしている学校もあれば、片や「プログラミング教育」が職員室で話題にすらあがらず、手付かずの学校もある。

 私の研修講師の経験から、プログラミングに触れたことのない多くの先生は、はじめはネガティブなイメージをもつ。

 研修前におこなう、「プログラミング教育をどう思うか」という無記名のアンケートでは、

「自分ができないことは教えられない」
「また新しい取り組みで、ますます学校が多忙になる」
「子どもとの触れ合い、人間味がなくなる」

 などの声を多く聞いてきた。

 しかし、2時間半の研修でプログラミングと出会い、はじめて体験した後、受講された先生方の表情は一変する。

「子どもの気持ちになって楽しく学べました」
「できそうな気分になりました」
「早速クラスで実践してみたくなりました」

 この2年間の現場での研修で、私は現場の先生たちはもちろん、管理職、保護者、小学生から中学生の児童生徒、教職を目指す大学生などさまざまな人たちに「はじめて」プログラミングに触れてもらったが、皆から聞かれる言葉が「楽しかった」が圧倒的である。

「プログラミング教育」という新しい言葉にバリアを張り、距離を置きたがっていた先生でも、やってみると意外と簡単にできるし、楽しいものであることが必ず認識できる。

 要は単なる「食わず嫌い」だったりする。

 現場を見ていて痛感することは、大人たちより、ネットやスマホが生まれたときから生活に入り込んでいる子どもたちのほうが圧倒的にハードルが低い。

 ならば先生たちにできることは何なのか。

 何度も言われていることだが、「プログラミング必修化」はプログラマー養成が目的ではない。

 大事なのは、子どもたちは、先生の後ろ姿を見て成長している、ということだ。つまり、先生がネカティブに取り組んでいるか、先生自身も楽しんで取り組んでいるかで、教育の質は変わり子どもたちの反応は全く違ってくる。私は、多くの授業を見てきているが、先生自身が楽しんで取り組んでいる授業は成功している、といって間違いない。

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