この時期に主力が動くことは考えにくいが、田口のように移籍すれば決して小さくないインパクトを与えられる選手は少なくない。特に能力がありながら、チーム事情で“くすぶる”可能性のある選手には注目が集まっている。
「糸原健斗(阪神)と小林誠司(巨人)の動向は気になる。糸原は内野の守備力は高くないものの、打力は素晴らしい。打線のどこででも使えるのでDH制があるパ・リーグでも面白い。また小林の捕手としての能力は言うまでもない。経験豊富なベテランの域に入っているので、控えにしておくのはもったいない」(在京球団編成担当)
30歳の糸原は右投左打で、内野ならどこでも守れるユーティリティ性はあるが守備範囲の狭さがネックになっている。打撃では力強いスイングには定評があるものの、昨年の秋季キャンプに不参加だったことから、今季はチームで“冷遇”されるのではないかという見方もある。
一方、2013年のドラフト1位で入団した33歳の小林も、侍ジャパンに選出された正捕手の大城卓三に次ぐ“2番手”の扱い。さらに、チームには岸田行倫ら期待の若手捕手も多く、打撃難の小林はさらに厳しい状況に追い込まれる可能性もある。だが、糸原と同じく弱点はあるものの“強み”もあるだけに、他球団からの狙い目となる可能性もあるだろう。
「他にも広島捕手陣の動きは気になる。今季は坂倉将吾が捕手一本での勝負を明言している。3連覇時の正捕手だった会沢翼をはじめ、勝負強い打撃が魅力の磯村嘉孝、強肩と堅実さが強みの石原貴規、正念場の中村奨成のうち何人かは二軍暮らしになってしまう」(在京球団編成担当)
年齢的な問題もあり会沢のフル出場が難しい中、天才的な打撃を誇る坂倉が台頭。今季から内野手との兼務をやめ捕手専任となるため、チームは今まで以上に捕手が余剰となる。坂倉の状態とチームの補強ポイント次第ではあるが、他球団にとっては魅力的に映る選手も多く、今後に動きがあってもおかしくないという。
また、キャンプ、オープン戦と続いていく中で不測の事態も起き、選手によっては好不調の波も生じる。巨人では中島宏之が紅白戦で堀岡隼人から右手親指に死球を受け骨折するなど離脱者も出た。
「(巨人は)何か起きても常に対応できるように十分なコマを揃える準備がある。FAなどで大型補強ではなくとも、何かあればすぐに動けるようにしているはず」(巨人担当記者)