小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP社)が発売中
小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP社)が発売中
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オーストラリア・パースの自宅の裏庭にて。「大家さんが庭木を伐採したので殺風景です」(写真:本人提供)
オーストラリア・パースの自宅の裏庭にて。「大家さんが庭木を伐採したので殺風景です」(写真:本人提供)

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

【写真】オーストラリア・パースの自宅の裏庭にて

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 朝早く庭に椅子を出して、東京の寒さで縮こまった体を夏の日ざしに当てていたら、やけに静かなことに気づきました。そうか、今日はクリスマス・イヴか。遠くの幹線道路は車通りもなく、庭の葉ずれの音と鳥の声しか聞こえません。みんな仕事を休んで、家族と過ごすクリスマス。夫と息子たちはのんびり朝寝中で、わが家もシーンと静まり返っています。ここオーストラリアのパースでは、クリスマスが日本の三が日みたいな感じです。

 パースで迎える年末もこれで6回目。明けてオーストラリア生活も7年目に入ります。あっという間のようだけど、遠い昔のことみたい。中2の次男が「人生の半分くらいがパースになった」と言ったのを聞いて、来たばかりの頃のちっちゃかった彼を思い出しました。小学校2年生の終わりに引っ越してきて、よく頑張ったなあ。先日一緒にクリスマスの買い物に行った時に、ふと隣を見たら次男と視線が合いました。もうすぐ背が並びそう。高2の長男が私の身長を追い越したのが中3の時だったから、今年の終わりには私が家中で一番小柄になっているでしょう。

 長男が夫を追い越したせいか、183センチあるはずの夫がこの頃、以前よりも小さく見えます。なんなら172センチの私と同じくらいなんじゃ?と並ぶと確かに夫の方が大きいのだけど、昔のような見上げる感じがないのはなぜか。まさか私の背が伸びたのか。それとも心理的なものかしら? 小さな子ども2人を育てている時はいつも気を張っていたし不安だったから、夫に頼る気持ちが強く、彼が大きく見えたのかもしれません。今は子どもから目を離しても大丈夫だし、夫婦ともに背筋も緩みがち。日本から戻って久々にハグをするたびに夫の背中が柔らかくなって、それも悪くないなと思ったのでした。

AERA 2020年1月13日号