本誌は11月に読者アンケートを実施。どんな場面で、人は他人の得を快く思わなくなるのかを聞いた。

 神奈川県の自営業男性(58)は、数年前まで勤めていた都内の化粧品会社で、頻繁に「不快だ」と思うことに出くわしていた。営業の成績をまとめる内勤の部署。子育て世代の女性も多く、不快だったのは、その子どもが絡むことだった。

「熱を出したとか、保育園の迎えがとか言って、仕事があっても帰ってしまうんですよね。こと、子どものこととなると絶対的に優先されるという雰囲気って何なんでしょうか」

 男性は、熱を出した子どもの面倒を見るのも、保育園に迎えに行くのも、映画を見に行くのも、すべて個人的な事情で仕事とは関係のないことだと思っている。だから男性は、大切にしていたミニチュアダックスフントが病気になっても、仕事を切り上げて帰宅したことは一度もなかった。

「子どもが社会の宝であるのはわかりますが、子どものことであれば何でも通るというのはさすがに違和感があります」

 子どもを理由に優遇されること=他人の得に納得がいかないという風潮は、社会のいたるところにある。その感情は、子育てをしていない人たちに限られたものではない。

 神奈川県の会社員の女性(61)は、31歳の長女と28歳の次女を育て上げた。

 消費税が10%に上がった今年10月、幼児教育・保育の無償化が始まったというニュースを聞いて、「世代が違えばこんなに違うのか」と、自分が損したような気分になったという。

 外資系の会社に勤めていた夫と共働きで、世帯年収はゆうに1千万円を超えていた。最も高い水準の保育料で、2人の娘を同時に保育園に通わせていたころ、支払いは月10万円に達していた。それなのに、今の世代は「無償化」だなんて……。

 併せて思い出したこともある。当時、農家や自営業者のママ友たちの中には、設備投資のための借り入れなどを理由に収入をゼロにして、保育料が免除されている人たちもいた。

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