試合前のスタメン発表では、どよめきが起きた。源田壮亮が「8番・遊撃」で先発出場。10日の1次ラウンド2戦目・韓国戦で、牽制の帰塁の際に負傷交代し、病院で「右手小指骨折」の診断を受けただけに強行出場は相手ベンチも予測できなかっただろう。バックネット裏で見守ったメジャーの関係者は「メジャーだったら考えられない。本人が出場を志願しても、所属先の球団からドクターストップが入る」と驚きを隠せなかった。遊撃の守備でケガの影響を感じさせない抜群の安定感をみせると、7回1死一、三塁の好機で148キロの直球を振り抜き、9点目の右前適時打。一塁ベンチは大盛り上がりだった。

 栗山英樹監督は試合後のインタビューで、「本当に皆さんありがとうございました。なかなか多くの野球ファンの皆さんが球場に来られない時期が続きましたけど、野球が戻ってきたなという感じがします」とスタンドを見つめた。そして、「長い間戦っているとまあまあ…」と話したところで、大谷がイタリアのベンチ前に出向き、エンゼルスでチームメートのダビッド・フレッチャーと写真撮影をして球場がどよめいたために、インタビューが一時中断。栗山監督は「すみません、しゃべらせて頂きます」と苦笑いを浮かべて仕切り直すと、「最終的に点差が離れましたけど、日本が誇る素晴らしい投手が投げても、(イタリア打線が)バットの芯に当たる。試合展開がどうなるか分からなかったので、たまたま勝たせてもらいました」とイタリアの健闘をたたえた。

そして、「試合前から久しぶりに選手に少し話をする中で、これだけの緊張感をなかなか感じないぐらい、選手は緊張していました。多くのファンの皆さんに、日本の素晴らしい野球を見せるんだという緊張感は僕も凄く感じましたが、試合の形で出たので本当に良かったです」と安堵の表情を浮かべ、「日本の誇る投手全員を突っ込んで…人前でそういう話はしませんが、今日に関してはファンの皆さんにも届いていると思いますが、翔平があれだけ1球1球声を出しながら、何とかしたいなというのは初回から感じられていたので、その思いは僕を含めて全員に伝わってました」と大谷を称賛した。

 野球の本場・米国で開催される決勝ラウンドに向け、言葉に力が入る。「最初にチームを作った時に言ったように、僕がということではなくて、日本の大先輩方、野球を作ってくださった方の思いを持ちながら戦いたいという風に思いましたが、野球が発展するためにはアメリカに行って、アメリカでやっている選手たちに勝たなければ前に進まないとずっと思っていたので、ぜひ勝ち切れるるように頑張ります」と力強く誓った。

 あと2勝。全員野球で頂点を目指す。(今川秀悟)

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