侍ジャパンが16日に行われたWBCの準々決勝でイタリアを9-3で振り切り、5大会連続のベスト4進出を決めた。
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先発の大谷翔平は「3番・投手」で出場。負けたら終わりの試合にかける思いが伝わってくる熱投だった。1球投げるごとにうなり声を上げ、直球は最速164キロを計測。5回途中までに5三振を奪い、2失点と先発の役割を果たした。
闘争心を前面に出す一方で、「打者・大谷」は冷静だった。0-0で迎えた3回1死一塁の2打席目。遊撃手を二塁ベースの右に置くイタリアの極端な守備陣形を逆手に取り、がら空きの三塁方向へセーフティーバント。絶妙なアイデアが相手の悪送球を誘い、一塁走者の近藤健介は三塁に到達。大谷の奇襲が球場に漂う重苦しい空気を変えた。続く吉田正尚の遊ゴロの間に近藤が本塁生還すると、岡本和真が左中間に自身今大会1号の3ラン。一挙4点を先制して試合の主導権を握った。
岡本は5回も右中間へ適時二塁打。試合後のお立ち台では、インタビュアーの質問に「最高です」を5回繰り返してスタンドの笑いを誘うと、決勝ラウンドで侍ジャパンを代表して抱負を聞かれ、「えー、もう…最高です!」と自身の世界観を貫いた。
明るい材料はこれだけではない。打撃不振で、イタリア戦は5番で先発した村上宗隆が5回に5点目の左中間適時二塁打。今大会初の長打で肩の荷が軽くなったのだろう。7回にも左翼のグラブをはじく二塁打で出塁してマルチ安打。牧秀悟の右邪飛で三塁にタッチアップでヘッドスライディングするなど、好走塁も光った。
侍ジャパンを取材するスポーツ紙記者は、「これまでの村上は甘い球を見逃して難しい球を振るケースが多かったが、5回の打席は初球から積極的に振りにいって逆方向に適時二塁打を放った。結果を出そうと焦りもあり、力んで引っ張りの意識が強かったが、広角に長打を打てる選手です。本来の形を取り戻して、完全復活は近いと思います」と期待を込める。