
この夏限りと言われたタピオカブームだが、一向にその熱が冷める気配はない。12の名店で飲み比べ、その訳を探った。AERA 2019年9月23日号に掲載された記事を紹介する。
* * *
ちょっと前にネットに流れた、タピオカの食べ過ぎで消化不良を起こした人のX線写真を思い浮かべながら、マイ胃腸を張って挑んだタピオカルポ。その詳細を紹介する前に、ここでタピオカの基礎知識をおさらいしておこう。
そもそもタピオカとは、キャッサバというイモのデンプンのことをいう。これをゆでて独特の食感を出したタピオカを沈めて、太いストローで吸い込みながら飲む台湾スタイルのドリンクが、ここ数年、世界中で大ブレークしている、タピオカドリンクだ。
「日本では、それまで数店しかなかったタピオカドリンク専門店が17年に数多く上陸。日本発のブランドも誕生し、これが日本の第3次タピオカブームと呼ばれるようになりました」
そう教えてくれたのは、タピオカドリンカー歴11年、これまで1千杯以上のタピオカドリンクを飲んできたという、タピオカナビゲーターの梅村実礼(みれい)さん(24)だ。
第1次タピオカブームは1990年代の初め。タピオカなる不思議な食べ物が、初めて日本に紹介されたときだと言われている。ただし、ドリンクはココナツミルクで、タピオカも今と違って白色で、噛めないくらい粒が小さかった。
続いて第2次ブームがやってきたのは、08年ごろ。カラメル色素で黒く着色し、サイズも大きくなったタピオカを入れた台湾の「タピオカミルクティー」が日本でも人気に。太いストローで飲む今のタピオカドリンクの原型がコンビニなどでも売られるようになり、第2次タピオカブームを形成したという。
梅村さんも、この第2次ブームでタピオカの魅力に取り憑かれた一人だ。
「学校帰りに寄っていた『パールレディ』などのスイーツスタンドで、クレープと一緒にタピオカドリンクが紹介されていたんです。そのときタピオカにハマった私のような当時の女子高生が大人になって、今の第3次ブームを支えているとも言われています」(梅村さん)