そう気づいてからは、どれだけリズムに遅れようが、勝手にひと休みしようが、気おくれすることはなかった。頭上ではミラーボールが回り、ムービングライトを駆使した様子はさながらクラブのよう。ダンベルなどのアイテムを使うシーンもあり、気づけば汗だくになっていた。同社を立ち上げた武田宏信さん(40)は言う。
「何より大切なのは続けること。運動強度の高いプログラムを導入しているので、継続できれば体は理想に近づく。音楽や照明、インストラクターの質を上げて、継続できるフィットネスであることを心がけています」
さらに、「音楽との一体化」を掲げ、スクリレックス、ジョナス・ブルーら海外アーティストともコラボしてきた。「音楽は好きだけど、クラブはちょっと」という層にも人気なのかもしれない。
続いて、「最先端の格闘系フィットネス」を謳うボクシングスタジオ「b-monster(ビーモンスター)」へ。ボクシングというと、汗臭く、スパルタなイメージもあるが、暗闇ボクシングは一味も二味も違う。あえて「型」にこだわらず、45分間気持ちよく運動することを目的にしている。
16年に東京で開設して以来、大阪、名古屋、中国・上海など12カ所に広がった。プログラムを受けた銀座スタジオには、34本のサンドバッグがぶら下がり、緊張感が漂っていた。
記者のポジションは、パフォーマーのmiiyaさん(25)の目の前。これなら、動きが分からなくなっても大丈夫だという安心感が生まれる。音楽が流れ出し、筋トレを組み合わせた「サーキット」が始まった。
爆音の中、腕立て、スクワット、腹筋……と次々とメニューが進んでいく。最初は楽々とこなせたが、少しずつ雲行きが怪しくなってきた。ボクシングにたどり着くまでに力尽きてしまう。そう思った頃に、グローブを着ける指示がきた。
念願のサンドバッグタイムでは、イヤミな上司を思い浮かべて、勢いよくパンチ! と思ったが、打ちなれていないせいか、うまくできない。ジャブを打てば打つほど、握りこぶしに痛みが返ってくる。どうして、嫌な人のことを考えながら、痛い思いをしているんだろう。