まず鍛えるべきはこの筋肉/モデルは2.5次元ミュージカルなどの舞台で活躍する俳優の三浦宏規さん。たくましい筋肉は、舞台で作られた(AERA 2019年8月12-19日合併増大号より)
まず鍛えるべきはこの筋肉/モデルは2.5次元ミュージカルなどの舞台で活躍する俳優の三浦宏規さん。たくましい筋肉は、舞台で作られた(AERA 2019年8月12-19日合併増大号より)
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「カッコよくなりたい」「体力の低下を防ぎたい」など、筋トレをする目的は人それぞれだ。 そして実際にやってみると、思わぬメリットを感じる人は多い。

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「大げさかもしれないけれど、僕は筋トレで大きく人生が変わったと思っています」

 今年4月から公務員として働く藤谷修介さん(29)は明るい表情でそう話した。

 藤谷さんは1浪して国立大学の工学部に入学し、そのまま大学院に進学した。ところが研究でつまずいて2年間留年。なんとか修了したものの、就職できず既卒になった。

 公務員を志望し、既卒1年目は国や自治体の採用試験を受けたが、書類審査や筆記試験は通過できるのに、集団討論や面接で必ず落ちる。「コミュニケーション能力に問題があるのでは」と悩んだ藤谷さんは、すでに公務員になっている先輩3人にスカイプで内容だけでなく話し方までチェックしてもらった。

「先輩たちから『まったく問題ない』と言われ、どうすればいいのかわからなくなって……。睡眠薬がないと眠れなくなるくらい悩みました」(藤谷さん)

 全敗が決まった8月半ば、藁(わら)にもすがる思いで就活支援予備校の模擬面接を受けた。服装も立ち振る舞いもすべて本番と同じように再現。模擬面接を終えた時、カウンセラーは衝撃的な一言を放った。

「第一印象がだらしない」

 みだしなみには十分気を付けていた。顔や髪を清潔に保つのはもちろん、ワイシャツはクリーニングに出し、ズボンも毎回プレスしていた。ところが面接風景を撮影した動画を見ると、確かにだらしなく見える。

 身長170センチで当時は体重70キロ。メタボではないが、幼い頃から運動嫌いで、体に締まりがなかった。公務員の面接はクールビズの期間に当たることが多いため、ジャケットやネクタイで隠すことができず、体形が丸見えだった。

「最初の10秒で勝負は決まると思った方がいい。体を引き締めるところから始めてみては」

 カウンセラーからそうアドバイスを受けた藤谷さんは「とにかく自分を変えたい」と一念発起し、その足で近所のジムに入会。見た目重視の筋トレメニューを組んでもらい、毎日1時間、マシンを中心に胸やおなか、太ももなどの筋肉をバランスよく鍛えていった。

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