侍ジャパンの3大会ぶり3度目となる優勝に沸いたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。しかしその裏で報道こそ少なかったもののプロ野球のオープン戦は例年通り行われており、レギュラーシーズンの開幕も目前に迫っている。そこで今回はオープン戦でアピールに成功した選手、逆にシーズン開幕に不安を残した選手を3人ずつピックアップしてみたいと思う。(オープン戦の成績は3月22日終了時点)
【写真】打撃の調子上がらず「開幕スタメン剥奪危機」もささやかれる選手がこちら
まず投手で強烈なインパクトを残しているのがオリックスの山下舜平大だ。福岡大大濠高から2020年のドラフト1位で入団。過去2年間は二軍でも目立った成績を残していないが、昨年夏場から急成長を見せ、実現はしなかったもののクライマックスシリーズでの先発候補にも挙げられていた。
オフに足首の手術を受けた影響が心配されたが、キャンプでは順調にメニューを消化。3月4日の阪神とのオープン戦では最速158キロ、投じたストレートの全てが156キロ以上という鮮烈な投球を見せ、大きな話題となった。その後も10日の巨人戦では3回2/3、17日の広島戦では4回2/3と徐々にイニング数を伸ばし、防御率は1.93と安定した数字を残しているが、それ以上に驚かされるのが15.43という奪三振率だ。
まだオープン戦で投球回数が少ないということももちろんあるが、昨年驚異的なペースで三振を奪っていた佐々木朗希(ロッテ)の奪三振率が12.04ということを考えても、この数字がいかに圧倒的かがよく分かるだろう。チームは山本由伸、宮城大弥という先発の柱2人がWBCに参加したことで出遅れる可能性が高いだけに、山下にかかる期待は日に日に高まるばかりだ。
野手で活躍が目立つのが清宮幸太郎(日本ハム)だ。ここまで15試合に出場して打率は.244とそれほど高くないものの、12球団でトップとなる5本塁打をマーク。放った11安打のうち7本が長打といよいよ開花かと思わせる活躍を見せているのだ。結果はもちろんだが、注目したいのがその内容である。2月26日にビーズリー(阪神)から放ったオープン戦第1号は150キロを超えるストレートをはじき返したものであり、この時期に速いボールをとらえることができているという点に進歩が感じられる。