投球内容ではなく、状態が気になるのが巨人のエース菅野智之だ。オープン戦ではここまで3試合、6回を投げて無失点、四死球0と結果を残しているが、3月18日の日本ハム戦では1回を投げ終えたところで右肘の張りを訴えて緊急降板となっている。一軍に帯同して調整を続けるという報道も出ているものの、開幕に間に合うかは非常に微妙な状況だ。昨年もなんとか規定投球回数はクリアして2年ぶりの二桁勝利をマークしたが、シーズン中に右肘の違和感で登録抹消されるなど離脱が目立ち、かつてのような絶対的な投球を見せることが少なくなっている。Bクラスからの巻き返しを目指すチームにとっても菅野の状態は大きな頭痛の種になりそうだ。

 野手で苦しんでいるのがオフにトレードで移籍した京田陽太(DeNA)だ。大和が難病を公表したこともあってショートのレギュラーとしての期待が大きかったものの、オープン戦ではここまで13試合でわずか4安打、打率.160と結果を残すことができていない。元々打撃の調子に波があるタイプだけに、短期間での数字はそれほど気にする必要はないのかもしれないが、新天地でアピールしないといけない立場ということがプレーに影響することも考えられる。DeNAにとってショートは長年の懸念点だけに、このまま調子が上がらないようであればチーム成績にも響いてくる可能性が高いだろう。

 あくまでオープン戦は参考材料であり、シーズンに入れば良くも悪くも全く違う姿を見せる選手が出てくることはよくあることだが、開幕も迫っているだけにやはり調子は良いにこしたことはないだろう。残り1週間、ここで挙げた選手がどう調整してくるのか。引き続き注目してもらいたい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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