横断幕を掲げて出迎えた加部碧唯さん(左)と古越香帆さん(撮影/上田耕司)
横断幕を掲げて出迎えた加部碧唯さん(左)と古越香帆さん(撮影/上田耕司)

 増井さんはグータッチの瞬間を興奮気味に話す。

「栗山監督が目の前を通った時に、『おめでとうございます!』と言って、すっと腕を出したら、監督がグータッチしてくれました。もう最高です。明るいキャラクターなのに、燃えるものがあって、厳しさもある。栗山監督だからこそ、大谷投手もダルビッシュ投手も呼べたのだと思います。退任すると聞いてショックですが、またいつの日か采配をふるってほしいです」

 出迎えるファンのなかには、若い女性の姿も目立った。セーラー服姿の4人組は、千葉県の女子高生だという。そのうちの1人は「きょうは学校帰りに来ました」と言う。

「2時間くらい待ちましたけど、選手たちを見るためなら、全然待っていられました。村上さんはガタイが大きく見えましたね。王者の貫ろくがあって、堂々と胸張って生きている感じで、感動して泣いちゃいました」

 4人の中の別の女子高生は、ヤクルトの山田哲人選手のファンだという。

「打ち方がメッチャ好きなんです。『ここぞ』という時に打ってくれる。さっき、前を通る時に姿が見えて、カッコ良かったです」

 別の女子高生は、好きな選手にソフトバンクの周東佑京選手を挙げた。

「周東さんの顔の輪郭がシュとしていてかっこいい。WBCでは、(準決勝の)メキシコ戦の最後の1塁から走りがヤバかった。前にいた大谷さんを追い抜きそうだった。塁を飛び出す時の瞬発力がすごいし、足も速いし、完璧です」

 東京都内の高校に通う古越香帆さん(16)と加部碧唯さん(16)は「サインして下さい 全勝優勝おめでとう 感動ありがとう!」というミニ横断幕を持って出迎えた。

「私は午前10時に成田空港に着いて、6時間くらい待ちました。選手たちは足早に歩いていってしまったので、サインしてもらう機会はなかったんですけど、間近に見られただけでもうれしかった」(古越さん)

 その隣では加部さんが、「私はヌートバー選手のファン」と言う。

「日本の選手を尊重してくれるところと、日本のために絶対優勝するという気合の入ったプレーがよかった」(加部さん)

 帰国後は、すぐに都内ホテルの会見場に向かった侍ジャパン。栗山監督は「日本でたくさんの人が応援してくれたということを空港で感じた。みなさんの思いが力になり、感謝で一杯だ」と語った。

 日本中が、感動の余韻にひたった1日となった。

(AERA dot.編集部・上田耕司)

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