諸外国を見てみると、授業料はスウェーデンなど北欧諸国では無償、ドイツでも基本無償だ。アメリカは高額だが、州立大学では州内学生向けには低めに設定されているほか、給付型支援も豊富に用意されている。
国際人権法が専門の申(シン)ヘボン青山学院大学法学部教授はこう指摘する。
「日本はGDPに占める教育への公的支出割合が主要国の中で例年最下位です。特に日本は高等教育の授業料が高く、学費の家計依存度もOECD平均の30%の倍を超える68%になっています」
日本が批准している「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(社会権規約)は、中等教育と高等教育については無償教育を漸進的に導入することによりすべての人に均等に機会が与えられるようにすることと規定しているが、日本はその義務を果たしているとは言えないと申教授は指摘する。
「月々2万~4万円の給付型奨学金を年間につき2万人に支給するという制度がスタートしましたが、その予算が18年度で105億円です。昨年末に閣議決定された中期防衛力整備計画では、116億円の戦闘機を5年間で45機調達するとしています。額を比べても、いかに教育がおろそかにされているかわかります」
FREEの立ち上げメンバーで東京大学文学部3年生の岩崎詩都香(しずか)さん(20)は、5月に登壇したシンポジウムでこう発言した。
「自己責任ですべて完結している社会の空気を変えるきっかけにしたい。自己責任論を押しつけられ、かつ分断されていることが息苦しさの根本かなと思っていて。少しでもみんなが生きやすく話せる場を作りたい」
7月の参議院議員選挙では、学費問題を主要なテーマとして議論してほしい。学生の声を反映した制度を作ってほしい。FREEは6月23日に新宿駅東口アルタ前で2回目の野外イベントを予定しており、そこでさらなる結果発表をする考えだ。(編集部・小柳暁子)
※AERA 2019年6月24日号より抜粋