発達障害には、自閉症、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)など様々な症状が含まれる。

 2005年に施行された発達障害者支援法で、発達障害児は公共の療育センターで教育や支援を受けられるようになった。ただ、文部科学省の調査では、発達障害と診断される子どもは年々増え続けている。障害の存在が認知されるようになったためとみられるが、公共の療育センターなどが混雑するケースも増えているという。代ゼミはこうした社会的な要請も踏まえ、発達障害児の支援や教育に乗り出す方針を決めたとみられる。

 サピックス代ゼミグループは、代ゼミを運営する高宮学園が09~10年、全国トップクラスの有名私立中学・高校受験の実績を持つ進学塾大手のサピックスを買収したことで成立したグループだ。

 代ゼミ側の念頭にあったのは、大学の入学希望者総数が定員総数を下回る「大学全入時代」に突入すること。高宮氏は、14年度には27校あった代ゼミの校舎を7校に減らすなどの構造改革を進め、グループの“主要顧客”を予備校生から、小中高生に切り替えた。こうした流れの中で、すでに、幼稚園児を対象としたサピックスキッズを運営するなど、グループとして若年層向け教育事業を強化してきた。

 関係者は「発達障害児支援教育参入の背景には、サピックスの中高の受験実績が安定してトップを維持していることで収益を確保できていることがある」と指摘する。予備校の存在感が薄れる中、中高受験以外の収益源を生み出すことはグループの最重要課題。発達障害児支援教育も、代々木の施設を皮切りに、全国展開を視野に入れているとみられる。(ジャーナリスト・坪根玲音)

AERA 2019年4月29日-2019年5月6日合併号

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