相次ぐ墜落事故を受け、各国が運航を停止したボーイング737MAX。詳しい調査はこれからだが、パイロットの操縦を支援する「MCAS」というシステムが原因との見方が有力になっている。
米航空機大手ボーイングの最新鋭旅客機「737MAX」が相次いで墜落事故を起こした問題が、全世界の航空業界に波紋を広げている。3月10日のエチオピアの墜落事故後、中国と欧州がすぐに運航を停止。当初、運航停止に慎重だった米国や日本も含め、14日時点で世界50以上の国と地域の370機余りの同型機が運航できなくなった。各航空会社は一部の便で欠航を決めたり、代替機での運航を余儀なくされるなど対応に追われている。
■まず中国や欧州が反応
「飛行機が墜落すると、炎の勢いが強くてすべてが焼け落ちてしまった」
エチオピアで10日に発生した墜落事故の現場では、英BBCによると、機体がほぼ跡形もないほどばらばらになっていた。航空評論家は、離陸直後に機体が高速で地面にたたきつけられ、激しく炎上した可能性が高いという見方を示している。
この事故で、157人の乗客乗員全員が死亡。昨年10月、インドネシアで189人が死亡した墜落事故と同じボーイング737MAXによるものだったことから、各国の航空当局や航空会社は騒然となった。
11日に中国当局が真っ先に反応。国内の航空会社に同型機の運航の一時停止を命じた。続いて、12日には欧州やアジア、中東など各国の航空当局や航空会社が737MAXの運航を禁止した。
一方で機体の製造国の米国は、連邦航空局(FAA)のエルウェル局長代行が12日の段階では「運航停止を判断する根拠はない」との立場をとるなど、運航停止に当初は否定的だった。そのため、日本の国土交通省航空局の担当者も、国内の航空会社が同型機を所有していないこともあり、他国の航空会社による他国の航空機の運航停止を指示するのに慎重な姿勢を示していた。運航停止を判断する場合は、製造国の当局の判断を待つのが業界では一般的だからだ。