「製造国の米国政府が判断を示していない段階で、中国や欧州が運航停止を指示したのは、かなり踏み込んだ判断だ」(国交省幹部)

 しかし、13日に米国は方針を転換。トランプ大統領が大統領令により運航停止を指示したことを受け、FAAは「事故現場で収集した新たな証拠や衛星データを解析した結果に基づいて判断した」と発表し、運航停止を指示した。日本の当局もFAAの判断を受けて、14日、737MAXを所有する各国の航空会社に国内運航の停止を求める方針を発表した。

 国交省によれば、日本路線に投入または投入を計画していたのは、中国の厦門航空、山東航空、韓国の格安航空会社(LCC)のイースター航空、シンガポール航空子会社のシルクエアー、タイのLCCのタイ・ライオンエアの計5社。各社は代替機で運航する方針だ。

■エアバスと受注競争に

 運航停止の判断を示すまで時間がかかるとの見方もあった製造国の米国が停止へ方針転換したことから、停止を判断しかねていた各国も一斉に運航を停止するとみられ、737MAXは当面、全機が地上に留め置かれることになる。今後は墜落事故の原因究明と、それを受けたボーイングによる改修が焦点となる見通しだ。

 737MAXは、小型で燃費がいいことなどから人気機種となっており、ボーイングは80社余りの航空会社から5千機超の発注を受けているという。座席数は138~230席で、座席数によって「7」~「10」の4シリーズに分かれる。エチオピアとインドネシアで墜落したのはともに「8」だった。

 近年の航空業界では、小型機が「花形」となっている。燃費が悪く、繁忙期以外には多くの空席を抱えてしまいがちな大型機と違い、小型機は高い搭乗率できめ細かく運航して収益を上げられることから、特にLCCなどから人気だ。737MAX8は航続距離も6570キロに達することから、各国のLCCが注力し始めている中長距離路線にもうってつけ。ライバルにあたる欧州の「エアバス A320neo」と受注合戦を繰り広げてきた。

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大統領が事故原因示唆